公共の場で授乳、どうすればよい? 海外は、日本は…
モーハウスのスリット入りの授乳服を着て授乳する母親。肌を見せず、子どもが欲しがったら素早くあげられるのが特徴だ=東京都渋谷区
飲食店で授乳する母親に戸惑っているという意見が、本紙の投稿欄「声」の東京本社版に掲載されました。これに対して、ではどこで授乳すればいいのかという母親の投稿があり、ネット上でも議論になっています。公共の場での授乳は今、どうなっているのでしょうか。
母乳をあげる母親は増えている。厚生労働省によると、生後3カ月時点で授乳している人の割合は、粉ミルクとの混合も含めると、1985年度の71・6%から2015年度は89・8%まで増加した。
日本助産師会によると、1日の授乳回数は個人差があるが、生まれて2カ月くらいまでは8~15回ほど、その後は7、8回ほどが必要とされる。1回15~30分ほどで必要な栄養は取れるが、赤ちゃんが眠ったり、欲しがらなくなったりするまで長い時間かかることも多い。「欲しがった時に欲しがるだけ授乳する」ことが成育に良いとされる。
海外では、公共の場で授乳する権利を法律で定める国・地域もある。
台湾の大使館にあたる台北駐日経済文化代表処によると、台湾は10年に公共の場での授乳を禁止・妨害してはいけないとの法律を施行した。
台北市の博物館で授乳していた母親が、係員からトイレで授乳するか館内から外に出ていくよう指示されたことがきっかけだ。違反すると日本円で約2万~11万円の罰金が科せられる。
また、授乳に関する著書があるカウンセラーの本郷寛子さんによると、米国の49州で公共の場での母親の授乳を保護する法律がある。「公共の場での授乳が当たり前で法律が必要がない国も多いが、日本も米国のような法律が必要になってきたのかもしれない」と話す。
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