国内保護か、トランプ氏配慮か… トヨタ、日米で板挟み
トランプ大統領の批判を踏まえて米国での自動車生産を増やすのか、日本から米国への輸出を維持して国内の雇用を守るのか。トヨタ自動車が、板挟みにあっている。日米首脳会談では自動車摩擦も議題になる見通し。その行方と「業界の盟主」の対応は、景気にも影響を与えかねない。
8日、春闘で安倍政権に歩調を合わせる経団連とトヨタグループの温度差があらわになる場面があった。
経団連が名古屋市で開いた地元経済界との懇談会。安倍政権の賃上げ要請を踏まえ、榊原定征会長は「新大統領の発言に、じたばたする必要はない。賃上げの流れを牽引(けんいん)することを期待したい」と会合後の記者会見で述べた。
これに対し、トヨタの大株主、豊田自動織機の豊田鐵郎会長は「トランプ氏の政策は輸出企業に影響力が大きい。(賃上げの)決断をしていいかは判断が難しい」と語った。
トランプ氏が大統領選に勝った昨秋から円高の逆風は緩み、輸出採算は改善。トヨタは、2017年3月期の営業利益見込みを1500億円引き上げて1兆8500億円とした。
ただ、そのトランプ氏はトヨタのメキシコ工場を批判し米国への建設を要求。「日本は為替を操作している」「日米間の自動車貿易は不公平」とも主張しており、経営環境が暗転するリスクがただよう。
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