被災3県、職員310人不足 県外からの応援1割減響く
東日本大震災の被災自治体で、職員不足が慢性化している。県外からの応援職員が約1割減る新年度は、岩手、宮城、福島3県で計310人が不足する見込みだ。派遣元の自治体の人手不足が影響している。熊本地震の支援に切り替える動きも出ている。
今年度、宮城県では14市町で正職員以外に1509人の人手を必要としたが、昨年4月時点の充足率は84%。福島県の21市町村では427人に対して87%、岩手県の9市町村は734人に対して91%だった。
3県の統計が残る2013年度以降、3県の平均は81~88%で推移。新年度は宮城が必要数1418人に対して88%、福島は651人に対して83%、岩手は674人に対して93%の見通しだ。
職員不足の背景には、県外の自治体からの応援職員が減っていることがある。今年度、宮城は13市町で626人、福島は15市町村で147人、岩手は8市町村で239人の派遣を受けているが、新年度に確保できるのは宮城571人、福島105人で、2県で前年の12%にあたる計97人が減る見込み。岩手も「減る見通し」(市町村課)だ。
団塊世代の退職や財政難で全国の自治体が職員数を減らすなか、「もうそろそろいいのではないか、という声も届いている」(村井嘉浩・宮城県知事)という。12年度から宮城に職員を送ってきた京都府の11町村は、今年度から派遣をやめた。
調整役の京都府町村会の担当者は「お願いに回っても、『退職者が多く、派遣元の日常業務にあたる職員すら足りない』と断られる」と話す。
九州の自治体を中心に、熊本地震の対応を優先させるところも出ている。鹿児島県鹿屋市は今年度、職員1人を岩手県大船渡市に派遣しているが、新年度は取りやめる。熊本地震や、昨年9月の台風被害の復旧に職員を回さなければならなくなったという。(桑原紀彦、斎藤徹)