亡き次女思い、続けた語り部…身を引かせた長女の一言
石巻市の日和幼稚園の送迎バスで次女を亡くした佐々木純さん(右)、めぐみさん夫妻。七回忌合同供養でそっと手を合わせた=11日午前10時8分、宮城県東松島市、日吉健吾撮影
11日午前10時過ぎ、宮城県東松島市の清泰寺で震災犠牲者を悼む七回忌の合同供養が始まった。本堂には同県石巻市の会社員佐々木純さん(37)と妻のめぐみさん(37)、高校1年の長女(16)の姿があった。
6年前、次女の明日香ちゃん(当時6)を津波に奪われた。亡くなる前年のクリスマスに撮った明日香ちゃんの遺影と位牌(いはい)を祭壇に捧げ、読経が響き渡るなか、目を閉じた3人は静かに手を合わせた。
6年前のあの日、防災無線が大津波警報を告げるなか、私立日和(ひより)幼稚園の送迎バスは海の方へ向かい、津波にのまれた。3日後、車内から次女の明日香ちゃん(当時6)が見つかった。トレーナーの星の模様で、明日香ちゃんとわかった。
その年の夏、ほかの遺族とともに園を訴えた。2014年、園側が法的責任を認めて仙台高裁で和解したが、なぜ命が失われなければならなかったのか、わからない。
犠牲になった命を無駄にしたくない。裁判仲間の母親が語り部の活動を始めた。めぐみさんは人前で話すのが苦手だったが、勇気を出して手伝った。
15年9月。初めて修学旅行の高校生たちの前に立った。命の尊さを伝えたいのに、緊張して言葉が出てこない。ほかのメンバーの足を引っ張ると思い、活動をいったん休むことにした。
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