漫才師・俳優の京唄子さん死去 「渡鬼」などに出演

写真・図版京唄子さん(1998年撮影)

夫婦漫才で一世を風靡(ふうび)し、俳優としても活躍した京唄子(きょう・うたこ、本名鵜島ウタ子〈うじま・うたこ〉)さんが6日午前10時33分、肺炎のため死去した。89歳だった。通夜、葬儀は近親者で営む。喪主は長女節子さん。

1927年、京都市生まれ。宮城千賀子さん主宰の「劇団なでしこ」に入り、京町歌子を名乗る。その後、別の劇団で鳳(おおとり)啓助さんと知り合い、結婚。56年に夫婦漫才コンビとしてデビューした。

「大きな口」をトレードマークにし、16年間放送された長寿番組「唄子・啓助のおもろい夫婦」の司会でもお茶の間に親しまれた。65年に鳳さんと離婚したもののコンビは続け、70年に唄啓劇団を結成。87年にコンビを解消し、同年、京唄子劇団を旗揚げした。

人気ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」では本間常子役として、藤田朋子さん演じる本間長子との嫁姑(しゅうとめ)の確執をユーモアたっぷりに表現した。劇団の座長として舞台にも立ち続けたが、2009年4月に腰椎(ようつい)圧迫骨折が判明。一時芸能活動から遠ざかったが、10年秋の「渡る世間は鬼ばかり」シリーズで復帰した。

67年、上方漫才大賞奨励賞、92年に大阪市民表彰、2008年には鳳さんとともに「上方演芸の殿堂入り」した。

藤田朋子さん「思い出尽きません」

人気ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」で、京唄子さん演じる本間常子の義理の娘、本間長子役を演じた俳優の藤田朋子さんは、所属事務所を通じてコメントを発表した。

コメントは次の通り。

お葉書(はがき)の返事が届かなくなり案じていました。

ドラマの収録で最後にご一緒した時に足の具合が悪くなり、舞台を自由に動けない、と寂しそうでした。

自慢のお帽子をお洒落(しゃれ)に被(かぶ)る京さん。おしろいの下の愛らしい瞳、遠くからでも聞こえる「へえ!へえ!おはようさん!」の声。

思い出は尽きません……。

ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

ASAHI.COM

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