がんと闘う記者が考える 「弱さ」と「強さ」
昨年2月にがんの手術を受けた病院には、大きな桜があった。見舞いにきた先輩記者と並んで写真を撮った。
「これが最後の桜かもしれない」。ならば、この経験を逆手に取り、少しでも記者として成長して散りたい、と考えた。
がんは、日本では二人に一人がかかるとされる。経済格差、性別、病気の有無。いろいろな基準によって二分される国民の「弱いほう」の見方が心からできるようになれたら――。だが、甘かった。そんなことを考えられるのはよほど体調がいいときだけだ。
抗がん剤の点滴を受けるため、10日に1回ほど通院する。各フロアに患者と家族が集まっている。似通った境遇なのだから、少しは悩みなどを語り合う気持ちになっても良さそうだが、そうはならない。
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