名古屋市は16日、2022年末完成を目指す名古屋城の木造新天守にエレベーターを設置しない方針を有識者会議で示した。「史実に忠実な復元」のため。代わりに、地下から地上5階までの階段に沿って椅子付きのリフトを設け、障害者や高齢者も観覧できるようにする。

1959年に再建された鉄筋コンクリート製の現天守には、5階まで移動できるエレベーターが設置されている。しかし、市は名古屋城の「本質的価値を高める」として、木造化には伝統的な材料や工法を採用する方針。江戸期の姿を忠実に復元するとして、エレベーターを設けない方針を決めた。

代わりに座ったまま上り下りができるリフトを設置する方針。そのためのレールや椅子を階段に付ける。安全確保のため、使用時は階段を片側通行や通行止めにする。

工事を担う竹中工務店の基本方針では、車いす利用者らも「不自由なく観覧できるようにするため」として、エレベーター設置案も掲げていた。市内の障害者団体は7月、木造天守にもエレベーターを設置するよう要望。障害者らの意見を聞く機会を設けることも求めている。

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