汚れたトイレ、実家の異変 告知受けた父に笑顔が戻った

写真・図版3月下旬、膵臓がんを告知された直後の父(左)。十数年前から腰痛を訴え、この2年ほどはほとんど歩こうとしなかったが、入院後はリハビリを嫌がらず、見舞った私の夫と笑顔で歩行練習に励んだ=都内の大学病院で

もうすぐ父が死んでしまうので:2(マンスリーコラム)

「えっ?」

久しぶりに実家の2階に上がって、私は仰天した。

何げなくのぞいた父の和室に、数え切れないほどのコンビニ袋が散らばっている。どの袋にも読み終わった夕刊紙や週刊誌が2、3部ずつ押し込まれ、畳を覆っていた。その1年ほど前、「お父さんに『片付けるなっ』ってすごく怒られる」と母から訴えられたことを思い出した。

ふと、父の部屋の隣のトイレが気になった。長らく頻尿に悩まされる父が夜中に何度も起き、ここで用を足すことは知っていた。

カチャッ。

ドアを開けた途端、思わず後ずさりした。便器は昔の公衆便所並みに激しく汚れ、強烈な異臭を放っている。しばらく掃除していないのは一目瞭然。

「な、なんで?」

私はぼうぜんとしながら、ドアを閉めた。

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