「アビガンで軽症9割回復」中間報告 比較検証はできず
データのそろった1282人の分析では14日目に症状が改善した割合は軽症が88%、中等症が85%、重症が60%だった。一方、1カ月後では重症の32%の人が亡くなり、5%の人は症状がより悪くなっていたという。
アビガンは富士フイルム富山化学が開発した抗インフルエンザ薬でウイルス遺伝子のタイプが同じ新型コロナウイルスにも効く可能性が指摘されていた。治療薬として承認されていないが、治療法が限られるなか全国の医療機関では倫理委員会の審査や患者の承諾を得るなどして使用。その結果を藤田医科大が集計していた。今回の発表は5月15日現在の中間報告だ。藤田医科大は「慎重に結果を解釈することが必要」としている。
アビガンは動物実験で胎児の健康への悪影響がわかったため妊婦や妊娠している可能性のある人は使う対象になっていない。観察研究では患者の約25%に何らかの副作用が出た。内訳は高尿酸血症(16%)や肝機能障害(7%)などだった。
厚生労働省の診療の手引によると、新型コロナウイルスによる感染症では熱やせきなど何らかの症状が出た人の8割は、重症化せずにそのまま回復するという。(三上元)
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