衆院予算委で、立憲民主党、希望の党などの野党が欠席していることに関して、委員長席に集まる与党理事ら=26日午前9時45分、岩下毅撮影
安倍晋三首相らが出席し衆参予算委員会の集中審議が開かれています。野党6党は麻生太郎財務相の辞任などを求めて欠席。森友・加計学園問題や、財務省前事務次官のセクハラ問題などをめぐり、与党の質疑や、野党の委員会室外での発言をタイムラインで追います。朝日新聞政治部で国会を担当する斉藤太郎記者の解説も。
○斉藤太郎記者の経歴 2005年から政治部記者となり、09年に民主党が政権奪取する際の国会対応などを取材。与党の「ごり押し」、野党の「ちゃぶ台返し」の攻防を幾度となく見てきたが、的を射た野党の追及が国会のだいご味だと思っている。1975年、米国アラスカ州生まれ、東京育ち。学習院大学卒。
首相、日朝首脳会談「やるのであれば、拉致問題前進に資するものに」(13:20)
【拉致問題】安倍晋三首相は参院予算委員会の集中審議で、自らが北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と首脳会談する場合、拉致問題の解決に向けた前進を条件とする考えを示した。「もし日朝首脳会談をやるのであれば、拉致問題の前進に資するものにしなければならない。首脳会談をやる以上、成果が見込まれなければならない」と述べた。自民党の塚田一郎氏への答弁。
首相は先の日米首脳会談について「11時間以上にわたってトランプ大統領と行動をともにし、多くの場面で拉致問題の経緯を説明し、被害者の気持ちなどを伝えた」と説明。「トランプ大統領はこの問題に真剣に向き合っていただけると期待しているし、信頼している」と強調した。
参院予算委の集中審議がスタート 野党6党、引き続き欠席戦術(12:55)
参院予算委員会の集中審議が午後0時55分、開会した。衆院と同じく野党6党は欠席戦術をとり、金子原二郎委員長(自民)が「理事および事務方をして出席の要請をさせるので、しばらくお待ちください」と述べていったん中断。2分ほどして再開した。
自民、公明の与党の質問は午後2時15分ごろまで。その後、出席している日本維新の会などの野党の質問があり、午後2時45分ごろに散会する予定。
欠席の野党、ヒアリングにもっと出て熱気を
○寸評(斉藤記者) 衆院予算委員会が午前、野党6党の欠席で2時間近くの「空回(からまわ)し」状態になったので、原稿作成の作業をしている国会記者会館の部屋を抜け出し、国会の雰囲気をのぞきに行きました。
野党6党は福田淳一・前財務事務次官のセクハラ発言疑惑を追及する合同ヒアリングを開き、麻生太郎財務相の「(福田氏が)はめられているんじゃないかとか、ご意見はいっぱいある」との発言を問題視。「即時撤回と謝罪を求める」と財務官僚たちを攻め立てていました。
麻生氏はそのころ、野党6党がいない予算委の部屋で、形式的に野党議員の出席を待ち続けていました。自らの発言をめぐり1フロア下で部下がつるし上げられていることなど、まったく知らないかのようです。隣の席の安倍晋三首相と時折、言葉を交わし、笑顔を浮かべていました。
野党6党の全面的な審議拒否が続く中、国会内の廊下は閑散としていました。野党の合同ヒアリングをのぞいた時の出席議員は10人余り。欠席戦術をとるからには、もっと多くの議員がヒアリングに出てきて、国会内の熱気をつくっていかなければいけないのではないかと思いました。
首相、与党への「サービス答弁」は外遊日程
○寸評(斉藤記者) 安倍晋三首相の答弁で、身内の与党議員に対する「サービス答弁」が出ました。「事情が許せば」と前置きしながら、大型連休中にアラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダン、イスラエル、パレスチナの中東各国を歴訪する予定を公にしました。公明党の浜村進さんへの答弁です。
首相は「エネルギーの安定供給確保のみならず、多岐にわたる分野で重層的な関係強化を目指していきたい」と強調し、「日本はイスラエル、パレスチナの双方と信頼・友好関係がある。中東和平にわが国も貢献していく」と胸を張りました。
きょうの首相から与党議員への「小ネタ」は外遊日程だったようです。出来レースの質疑のようにも見えますが。
「空回し」の後、委員長が「散会」宣言 午後は参院で(11:54)
衆院予算委員会の集中審議は午前11時54分、終わった。立憲民主党など野党6党が欠席したまま、2時間近く質疑が行われない「空回(からまわ)し」状態が続き、最後に河村建夫予算委員長が「これにて散会します」と宣言した。麻生太郎財務相はほっとした表情で立ち上がり、自民党議員たちと談笑しながら退席した。
参院予算委の集中審議は午後1時ごろに開会する見通し。
与党の「空回し」、野党の審議拒否を見せる目的
○寸評(斉藤記者) 野党6党が欠席戦術をとるなか、衆院予算委員会で「空回(からまわ)し」が続いています。国会運営の俗語で、審議拒否をしている政党に質問の順番が回ってきたら、質問者不在で質疑をしないまま、審議時間だけを稼いでいく状態のことです。閣僚たちは質問を受けることなく、時間が経つのを待ち続けることになります。予算案や法案の審議時間を積み上げるため、与党が踏み切るのが一般的な姿です。
今回はどうでしょう。法案や予算案を「審議」しているわけではありません。いろいろな問題を「質疑」するための予算委です。不必要な空回しと言えます。現に午後の参院予算委では、出席議員の質疑が終われば淡々と散会する予定です。
空回しの目的は野党6党への「嫌がらせ」でしょう。審議拒否はしばしば世論の反発を受けます。野党議員席がガラガラのまま、安倍晋三首相や与党議員らが待ちぼうけを食う風景をメディアを通してお茶の間に届けることで、野党に圧力をかけているといえます。
「空回し」1時間経過 与党議員、資料読んだりスマホいじったり(11:03)
野党6党の欠席による衆院予算委員会の「空回(からまわ)し」状態が1時間を経過した。安倍晋三首相と麻生太郎財務相が閣僚席に座り続けている。首相は腕組みをしながら目をつぶっていたが、ポケットから携帯電話を出し、何かを確認している。
隣席の麻生氏はメガネをかけ、資料に目を通し続けていたが、後輩議員に声をかけられて委員室を出て行った。退席する理由について、閣僚経験者は「空回しをしている時にゲラゲラ笑うようなことはできないから」と話す。
委員室で時間が経つのを待ち続ける与党議員たちは、自席に座ったまま資料を読んだり、スマホをいじったりしている。会話をしている人もいるが、ひそひそ声。カメラのシャッター音だけが傍聴人席に響いている。
欠席の野党6党「国会強行、連休に逃げ込むのか」ヒアリングで政権批判(10:30)
【野党追及】予算委員会を欠席している立憲民主党など6党は午前10時30分、福田淳一・前財務事務次官のセクハラ発言疑惑を追及する合同ヒアリングを国会内で開始。冒頭、希望の党の柚木道義衆院議員は「意味のある国会ならいつでも出られるが、意味のない国会になるから要求を出している。野党の要求は無視、国会は強行、このまま連休に逃げ込むのか」と財務官僚らに迫った。
野党6党は麻生太郎財務相の辞任や、加計(かけ)学園問題などをめぐる元首相秘書官らの証人喚問を要求し、審議を拒否している。ヒアリングは報道陣30人近くが取材に当たっている。野党6党は、国会審議に出ない一方、ヒアリングを通じて政権を追及する姿を伝えようとしている。
野党の質問時間の「空回し」に(10:03)
「これより立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会、および日本共産党の質疑時間に入ります」。衆院予算委員会の集中審議で午前10時3分、河村建夫委員長は立憲などが欠席していることを承知の上で、こう宣言し、委員会は「空回(からまわ)し」の状態に入った。
安倍晋三首相や麻生太郎財務相、与党議員らは質疑が行われない状態のまま、正午ごろまで委員室で形式的に野党議員の出席を待ち続けている。
立憲・辻元氏「責任とらず、審議強行。虫が良すぎる」(10:10)
【国会攻防】立憲民主党の辻元清美国会対策委員長は午前10時10分、野党6党が欠席する中で衆院予算委員会の質疑が行われていることについて、「外務大臣が外遊中で不在のまま、野党の合意もなく外交の集中審議を開くということは理解に苦しむ」と批判した。国会内で記者団に述べた。
辻元氏は、野党が欠席する理由について「それはそれ、これはこれという状況は通り越した」と強調。「1年以上にわたって財務省をはじめ行政が隠蔽(いんぺい)や改ざんをしてきた。そこをまずただす姿勢をみせずに、なんとかウヤムヤにし、責任者が責任もとらないままで、自分たちに都合のいいことだけはつまみ食いのように(審議を)強行したいということは、虫が良すぎると思う」と憤った。
首相、早期の衆院解散「私の頭の中には全くない」(09:50)
【衆院解散】安倍晋三首相は衆院予算委員会の集中審議で、早期の衆院解散・総選挙について「私の頭の中には全くないとはっきり申し上げたい」と述べた。一方で、公文書改ざん問題などを念頭に、「行政全体への国民の信頼を揺るがす事態となり責任を痛感している」とも指摘。「信頼回復に向け必ず全容解明し、うみを出し切り、組織を根本から立て直す。そのための最善の方策は果断に実行に移す覚悟だ」とも強調した。日本維新の会の杉本和巳氏への答弁。
衆院解散をめぐっては、自民党の森山裕・国会対策委員長が25日、「(野党から)不信任案が提出されれば衆院を解散するのも内閣の選択肢だ」と記者団に言及していた。 (altro…)