集落に大事件、20年ぶり赤ちゃん誕生 「よく来たね」

写真・図版生後1日のあおちゃんを抱く会田ももさんと法行さん=2016年12月8日、新潟市西区

ほわっとした泣き声が、耳に飛び込んできた。会田ももさん(33)は、涙がボロボロ止まらなかった。

昨年12月7日午前4時53分、予定日より12日早く出会った2095グラムの男の子。おっぱいへの吸い付きが力強い。笑ったり、しかめっ面をしたりと表情豊かで、手足をバタバタ動かす。「よく来てくれたね」。夢のようだった。

新潟県十日町市の山あい、全部で6世帯だけの中立山・中原という集落に自宅がある。「よっしゃー」「奇跡だ」「ここの宝だよ」。20年ぶりの赤ちゃん誕生に集落は沸いた。中立山・中原の中でも入山地区で、男の子は実に半世紀ぶりだ。「久しぶりなんてもんじゃない。感激だねえ」。佐藤富義さん(80)は自分のことのように喜んだ。

ももさんは画家で新潟市、夫の法行さん(44)は写真家で横浜市出身。夫妻は昨年4月、ここに移住した。国内外を転々としながら写真を撮っていた法行さんは、故郷に根を張って生きる人々にひかれた。「自分も自然が豊かな場所で……」。田舎道のドライブが趣味で、たまたま通った十日町を気に入った。

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