「えびす銭、返して」 縁起物の古銭、神社に戻らず悲鳴
十日恵比須神社の「えびす銭」。白い紙袋に古銭が1枚入っている
福岡市の神社で200年続く「えびす銭(せん)」。古銭を参詣(さんけい)者に貸して1年後に返してもらう風習だが、返ってこないケースが近年多発している。このままでは風習が絶えかねないという。
商売の神様として知られる福岡市博多区の十日恵比須神社。毎年1月8~11日に開かれる「十日恵比須大祭」には400軒の露店が並び、約100万人でにぎわう。
人気の縁起物のひとつが財布の守り神とされる「えびす銭」。江戸時代の通貨「寛永通宝」などの古銭を1枚ずつ袋に入れ、1枚200円で授ける。
権禰宜(ごんねぎ)の太郎良(たろうら)高光さん(31)によると、えびす銭は神様から借りるもの。参詣者は1年後に返してまた次の1枚を借り、「神様とのご縁」をつなぐ。年間を通じて授与しているが、大祭の時期に借りる人が過半を占める。神社からお金を借りて商売の「種」にし、繁盛のお礼に翌年2倍にして返す古い風習の名残だ。神社は約200年間、同じ硬貨を使い続け、年間10万枚ほどの古銭を貸し出す。
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