少女像、にらみ合う日韓 対抗措置の日本、にじむ配慮

写真・図版慰安婦問題と少女像に関連する主な動き

 韓国・釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦問題を象徴する少女像が、もろさをはらむ日韓関係を揺さぶっている。日本側は強い不満から対抗措置に踏み切ったが、韓国側は国民の反発が必至の像撤去には後ろ向きだ。両国を仲介した米政権も移行期にあり、解決の見通しは立っていない。

「国と国として約束したことは実行してほしい、そういう強い思いだ」。6日午前、首相官邸。韓国への対抗措置を発表した記者会見で、菅義偉官房長官は厳しい表情でこう語った。

昨年末の「少女像」設置から1週間。対抗措置を決めた背景には、「このままでは日本国内からも『日韓合意破棄』の要求が高まり、両国関係が修復不能になりかねない」(外務省幹部)との危機感があった。

複数の日韓関係筋によると、正月休み明けの4日から両国は外交ルートで交渉を本格化。日本側は対抗措置の実施も示唆しながら、像の即時撤去を繰り返し求めた。韓国側が応じないまま、決裂した。

そもそも日韓合意自体、安倍晋三首相にとって外交的な「勝負」だった。日本政府が軍の関与や責任を認め、韓国政府が元慰安婦を支援するため設立する財団に日本政府が10億円を拠出する内容。首相を支える保守層には不満も強く、日本側が合意の根幹と位置づけたソウルの日本大使館近くの少女像移転について、首相は「移転できなかったら、俺だって厳しい」と周囲に漏らしていた。

だが合意から1年、ソウルの少女像移転のメドが立たないまま、新たな像が釜山の日本総領事館前に設置された。首相周辺は「首相は腹に据えかねたんだろう」。対抗措置カードは切られた。

ASAHI.COM

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