出張先で休暇、欧米で広がる 国内企業も奨励の動き
茶道が楽しめるように炉が切られた和室も登場した=東京都文京区のホテル椿山荘東京
出張のついでに休暇を楽しむ「ブリージャー」と呼ばれるライフスタイルが注目を集めている。欧米のビジネス客の間で広がり、新たな客層を取り込もうと、国内のホテルも改装に乗り出すところが出始めた。
「出張は今日まで。明日はこのまま休暇を取って、明治神宮に行きたいんだ」
旅行関連会社に勤めるデビッド・ビサーさん(27)は昨年10月末、ニュージーランドから、支社のある東京へ出張した。金曜日まで打ち合わせなどをこなした後、土曜日を休暇にした。自費で延泊して六本木にも繰り出し、土曜深夜の便で帰国した。
これまでも出張先で休暇を取り、リフレッシュしてきたというビサーさん。「その土地の文化や食べ物が体験できる良い機会だし、仕事だけで帰るのはもったいない」と話す。
ビジネス(business)とレジャー(leisure)が融合した、ブリージャー(bleisure)。オンライン宿泊予約サイトのブッキング・ドットコムが昨年、10カ国の各1千人の旅行者を対象にしたアンケートでは、米国人の65%が過去1年間に出張を延長して休暇を取っていた。英国企業の89%がそうした休暇の取得を認めているというコンサルティング会社の調査もある。
国内のホテルもブリージャーに注目している。
ザ・プリンスパークタワー東京(港区)は昨年10月、ブリージャーの取り込みを掲げて29~31階を改装した。休暇を含めた中長期滞在を想定。大きめのワーキングデスクを配置する一方、ゆったりとした空間を演出するために、部屋とバスルームを隔てていた壁を取り払った。ホテル内の会議室も無料で使える。
ホテル椿山荘東京(文京区)が新装した和室には炉が切られ、日本庭園を眼下に望みながら茶道を楽しめる。担当者は「仕事での来日をきっかけに、日本を体感したいという需要に応えたい」と話す。着物の着付け体験や日本語レッスンも好評という。
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