名門オケ憧れの「トヨタ」 ホール建設に日本の音響技術

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11日の開幕演奏会で演奏されたベートーベンの「第九」。聴衆が総立ちで拍手した=ハンブルク、石合力撮影

写真・図版音響設計を手がけたハンブルクのホール内部をみる豊田泰久さん=ハンブルク、石合力撮影

名だたる欧州の名門オーケストラが、新ホール建設で頼りにする日本の巨匠がいる。米ロサンゼルス在住の音響設計家、豊田泰久さん(64)。これまで担当してきたホールの音響のすばらしさに指揮者や演奏家らが魅せられ、コンペや指名を通じて依頼するケースが相次いでいる。

ドイツ北部の港湾都市ハンブルクに11日にオープンしたホール「エルプ・フィルハーモニー」もその一つ。巨匠ギュンター・バントのブルックナー演奏で知られる名門・北ドイツ放送交響楽団の本拠地だ。同日の開幕演奏会にはガウク大統領、メルケル首相がそろって出席し、ハンブルク出身のメンデルスゾーンブラームスの作品やベートーベンの「第九」などで完成を祝った。

ユネスコ世界遺産に登録されている運河沿いの倉庫群にある赤れんが倉庫の上にガラス張りの構造物を乗せた建物は26階建て(高さ111メートル)。北京五輪会場「鳥の巣」や東京のプラダ青山店などで知られる建築家ユニット、ヘルツォーク&ド・ムーロンが設計した。12階(同51メートル)から23階を占める大ホールは、地上からの高さと巨額の建設費7億8900万ユーロ(約962億円)が、いずれも「ホールとして史上最高」(広報担当)として、話題を集めている。

豊田氏は、東京初のコンサート専用ホールとして「世界一美しい響き」を追求したサントリーホール(1986年)やロサンゼルス・フィルの本拠地ウォルト・ディズニー・コンサートホール(2003年)を手掛けてきた。指揮者やホール設計の建築家にとって、「トヨタ」と言えば、自動車メーカーではなく彼を指すほどの音響設計の第一人者だ。

ASAHI.COM

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