ぼくが3年伸ばした髪、がん・脱毛症の子へ 寄付広がる
木村仁君。髪を寄付する前の写真パネルと並んでもらった=昨年11月、千葉県船橋市、細川卓撮影
がんの治療や脱毛症で髪に悩む、18歳以下の子どもへの「ヘアドネーション」(髪の寄付)が、全国に広がっている。人毛100%のウィッグ(かつら)を贈る大阪市のNPO法人には連日、同世代の子どもから、何年も伸ばしてカットした髪が届く。贈る側と贈られる側。子どもたちの思いを髪がつなぐ。
「髪を伸ばしてうれしいことがあったから、ぼくの髪にはハッピーがいっぱい詰まってる。自分の髪だと思って過ごしてほしい」
千葉県船橋市の小学5年木村仁(じん)君(11)は昨年5月、長さ40センチほどの髪を寄付した。小2の夏から、約3年間伸ばし続けてきた。寄付は2回目だった。
4歳の時、七つ上のいとこの昔の写真に驚いた。髪もまゆもない。「なんでつるつるなの?」。母は、がん治療の副作用で抜けたのだと教えてくれた。「何かできることはないかな」。母から髪の寄付のことを聞き、幼稚園年中の12月から2年半伸ばし、32センチの髪を贈ったのが最初だった。
レストランで女子用のピンクの食器が出てきたり、商業施設の男子トイレで見知らぬ男の子に「女は入っちゃいけないんだよ」と注意されたり。でも「髪がない子の方がつらいはず」と、自分の意思で続けてきた。
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