不名誉な情報、ロシアで暗躍 プーチン氏出世の契機にも
トランプ次期米大統領の「不名誉な情報」をロシアが握っている――。ネットメディアのバズフィードやCNNが流したニュースは、ロシアでも大きな関心を呼んでいる。ロシアでは実際に、こうした情報の暴露で、政治が左右されることがあるためだ。
「不名誉な情報」は、ロシア語で「コンプロマート」と呼ばれる。汚職などの金銭スキャンダルも含まれるが、世間に与えるインパクトでは、今回トランプ氏が指摘されているような、異性との不適切な関係に勝るものはない。
典型例は、ロシアの野党「パルナス」を率いてプーチン政権を厳しく批判してきたミハイル・カシヤノフ元首相を昨年4月に襲ったスキャンダルだ。有力テレビ局NTVが、カシヤノフ氏らしき全裸の男性が、パルナスの女性幹部とベッドを共にしている様子を収めた盗撮映像を放映。他の野党指導者の悪口を言っている音声も流された。昨年9月の下院選を前にカシヤノフ氏に打撃を与える目的だったことは明らかだ。
この後カシヤノフ氏は精彩を欠き、パルナスは9月の下院選で惨敗した。
女性は、事実上映像が本物だと認めて「違法な撮影であり、プライバシーの侵害だ」と主張したが、行政当局は「公益性がある」と判断。映像は今もテレビ局の公式サイトに掲載されたままだ。
実は、無名だったプーチン氏が大抜擢(ばってき)される大きなきっかけとなったのも「コンプロマート」だった。
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