復興住宅退去求められ被告に 80歳「この年でつらい」
震災22年を「被告」として迎えた中村輝子さん。「まさか出て行けと言われるとは」=神戸市兵庫区
「どうして、こんなことに……」。神戸市兵庫区の集合住宅「キャナルタウンウェスト4号棟」の一室で、中村輝子さん(80)は将来への不安を抱える中で、震災の日を迎えた。
震災後、市は被災者向けに都市再生機構(UR)から20年契約で復興住宅を借り上げた。その期限が昨年切れ、中村さんは85歳以上などの継続入居条件にあたらないとして市から退去を求められ、提訴された。
地震後の火災でやけどを負った夫(当時67)は発生翌日に亡くなった。避難生活を経て今の部屋に移ったのは1996年11月。入居許可書に期限は書かれておらず、退去期限があると5年前の市の説明会で知った。中村さんは訴える。「この年齢で環境が変わるのはつらい。だからこそ考えてほしい」(金井和之)
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