元気な四つ子のカワウソ一家、撮影現場は大慌て

写真・図版やんちゃそうな表情を見せるコツメカワウソの赤ちゃん=竹谷俊之撮影

360度動画「いきもの目線」

山口県宇部市のときわ動物園で昨年10月、園で初めてとなるコツメカワウソの赤ちゃんが誕生した。なんと四つ子だ。園の協力で、展示室の中に360度カメラを設置し、元気いっぱいのカワウソ一家を撮影した。

生後2カ月の赤ちゃんたちは、体長20センチほどで、親に比べると毛の色もほんわか淡い感じ。「今がかわいい盛りです」と飼育員の森尚子さん(30)は言う。

さて撮影準備だ。小さな半天球カメラは、板にはめ込んだ。カワウソ一家が寄ってきてくれるように、彼らが大好きな寝床用の麻袋も取りつけた。準備万端だ。

ふと見ると、目の前の展示室では、母親の「リン」と父親の「ボン」が重さ3キロほどの水飲み用の器を鼻で押し回して遊んでいる。結構、力がある様子だ。森さんがつぶやく。「カメラ、いたずらされちゃいますね……」

念のため、板の端に重りを乗せて補強した。展示室に入って、さあ、撮影へ。

カワウソたちは興味しんしん、親も子どももカメラに鼻を近づけてクンクン。においをかぐだけならよかったのだが……。麻袋をひっぱり回して重りがずれた瞬間、「あっ!カメラが!」。親が板底に鼻を差し込んで持ち上げてしまい、撮影はやり直しだ。

その後も周囲をうろちょろしていた赤ちゃんカワウソ。ふと気づくと姿が見えない。あれ? 親たちもいない。麻袋がモゾモゾ……もしかして、みんな袋の中?

「寝ちゃいましたね。遊び疲れたんでしょうか」森さんも苦笑い。自由なカワウソ一家に、人間たちは振り回されっぱなしだった。

森さんによると、コツメカワウソはイタチの仲間。丸くて小さい爪を持つのが名前の由来だ。インド南部、東南アジアなどの川や湖に住み、手足の水かきを使って水中をすばやく泳ぐ。主食は魚やカニ、ザリガニ、カエルなど。丈夫な歯をもち、貝なども噛み砕いて食べるという。

園では、動物たちが元々住む環境を再現する「生息環境展示」を取り入れている。カワウソたちの寝床となる岩場を再現した室内展示場のほかに、川を再現した屋外展示場もあり、春先には一家で仲良く泳ぐ姿も見られそうだ。(尾崎希海、竹谷俊之)

ASAHI.COM

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