博多陥没、大成JVが計測値確認せず 基準超え把握後も
福岡市のJR博多駅前で起きた陥没事故で、地下鉄工事を施工する大成建設JV(共同企業体)が、陥没の兆候を示す数値を事故前日に計測していながら市に報告していなかった問題で、市は9日、大成JVへの聞き取り調査の結果を公表した。大成JVが危険レベルの初期の基準値超えを把握していたにもかかわらず、その後は計測値を確認していなかったという。
市は大成JVの作業員ら数人に1月下旬から2月上旬にかけてヒアリング調査を実施。市によると、大成JVはトンネルを支える鋼材にセンサーを付け、トンネル上部の岩盤からかかる圧力の計測値を1時間ごとに自動でパソコンに取り込み、1日2回、確認していた。
事故前日の昨年11月7日午後5時ごろ、数値が現場点検などを求められる「レベル1」の値を超過。大成JVはその約2時間半後にその事実を確認していたが、市に報告しなかった。市の調査に対し、大成JV側は「異変と捉えず、その他の計測値を総合的に評価し、予測の範囲内と考えた」と答えたという。
その後、数値は8日午前1時ごろに軽微な対策工事の実施を求める「レベル2」に達し、午前2時ごろに工事停止の目安となる「レベル3」を超えた。だが計測値の確認手順は通常通りのままで、いずれの事実も大成JV側は事故後に把握していた。
これに対し市は、レベル1を超えた段階で大成JVが市に報告するという契約上の指示を守らなかったとし、「事故を防止できる機会を逸した可能性がある」との見解を示した。
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