「体を拘束のまま判決」は違法 高裁金沢支部が一審破棄
服役中の金沢刑務所で看守に暴行を加えたとして、公務執行妨害と傷害の罪に問われた男性被告(42)の控訴審判決が16日、名古屋高裁金沢支部であった。被告は地裁で体を拘束されたまま判決を受けており、岩倉広修(ひろみち)裁判長は「重大な違法というほかない」と判断、懲役2年とした一審判決を破棄し、審理を金沢地裁に差し戻した。
被告は2015年9月3日午前10時10分ごろ、金沢刑務所の廊下で、身体検査をしようとしていた看守の顔を殴り、軽傷を負わせたなどとして起訴された。
金沢地裁の1、2回目の公判で、被告は付き添いの刑務官に殴りかかり、体当たりしようとした。そのため、田中聖浩(きよひろ)裁判官は昨年8月の判決の際、腰ひもなどをしたままの状態で言い渡した。これに対し、弁護側は「公判廷において被告人の体を拘束してはならない」と定めた刑事訴訟法に違反していると主張していた。
控訴審判決は、地裁の判決日に被告は暴力を振るったり逃げようとしたりしていないと認定。開廷時から拘束されていたのは「違法」とした。(田中ゑれ奈)