シカ駆除へ監視・マラソン見守り… ドローン、ここでも

写真・図版シカの生息調査で使う予定のドローン。赤外線カメラで地上のシカを見つける=岩手県大船渡市

小型無人飛行機ドローンの活躍の場が広がりつつある。農作物を食い荒らす鳥獣の駆除や上空の気象観測、医療支援……。これまで困難だったことが可能になるかもしれないと、関係者の期待は大きい。

赤外線センサー、シカ監視

畑が点在する岩手県大船渡市の山間地。昨年12月、独特のブーンという羽音を立てながら上空約50メートルをドローンが飛行した。

「シカは音に気づくでしょうが、一瞬立ち止まるくらい。逃げたりはしないですね」。実証実験に取り組む大日本猟友会の佐々木洋平会長(74)がこう話した。機体前部の赤外線カメラが温度の違いを識別し、シカをモニターで確認する仕組みだ。

農作物の鳥獣被害は年間200億円前後で推移する一方、狩猟者は減り、高齢化も進む。鳥獣の生息域を上空から確認できれば、駆除の効率が上がる。佐々木会長は「狩猟のあり方が劇的に変わるかもしれない」と期待する。今後はドローンのシステム開発企業「スカイシーカー」(東京)などとシカやクマを超音波で追い払う装置の開発も進めるという。

カワウによるアユなどの食害に悩む神奈川県兵庫県大分県など18県の内水面漁連は昨年、ドローンを購入した。風でカワウが嫌がる音の出るビニールをつり下げ、営巣地周辺の木々にかけて巣作りを防ぐ。

従来は釣りざおでかけていたが、高所やダムの側面など危険な場所では困難だった。カワウ対策を研究する中央水産研究所の坪井潤一研究員(38)は「作業は楽だし何倍も効果が見込める」。ドローンドライアイスを運び、巣に落として卵を冷やして孵化(ふか)を抑える対策も研究するという。

徳島県はレンコン畑を食い荒らすカモにドローンを近づけて追い払う計画。自動でカモを検知するセンサーや追い払うのに効果的な音や光などを調べ、2019年中の実用化を目指す。

■上空にとどまり気温・湿度も観測

昨年11月中旬、群馬県内の河川敷。気象センサーを搭載したドローンが上昇し、地上のパソコンに「風速2・8メートル」などと数字が表示された。高度約50メートルで数十秒とどまり、気温や湿度も観測した。

ASAHI.COM

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