金属バットの隠れた「聖地」 シェア4割超、光る職人技
金属バットと言えば高校野球。岐阜県恵那市の工場で作られたバットが、球児の半数近くに使われている。有名スポーツ用品メーカーの商品として販売され、工場名は記されないが、作り手の思いは深く刻まれている。甲子園球場に金属バットの快音が響く選抜高校野球の季節はもうすぐだ。
自動車や家電などに使うアルミ部品を製造する「UACJ金属加工」(本社・東京都)の恵那工場で、金属を加工する乾いた音が響く。特殊な塗料がもたらす独特の匂いが漂う中、23~65歳の職人6人が慣れた手つきで機械を操る。
恵那工場では全製品生産量の4分の1を金属バットが占める。年に約3万5千本を生産し、全国シェアの4割を超える。バットは全て、主要スポーツ用品メーカー7社に納められる。「振りやすさ」「飛距離」「打った感触」など、微妙に違う各社の要望に応えるため、レパートリーは約30種類に及ぶ。
バットは長さ約4メートル、直径約8センチの高強度アルミ合金の管から作られる。80センチほどに切断し、圧縮形成する機械でたたいて延ばしてグリップを作り、グリップエンド部分を溶接。その後、「焼き入れ」で出たゆがみを油圧シリンダーで直し、特注の表面処理装置で着色してできあがる。
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