福島・富岡のおもちゃ店、模型で永遠に 「思い出封印」
制作中の「おもちゃ店兼自宅」を手にする根本正彦さん=福島県郡山市、鈴木剛志撮影
福島県の仮設住宅で、おもちゃ店の模型を作っている人がいる。6年前の原発事故で全町民約1万3千人が避難している富岡町。その商店街で経営していた思い出の店を、50分の1の模型で残そうとしている。
根本正彦さん(54)が経営していたおもちゃ店「ステップ・ワン」は、避難指示の対象区域の中でも、日中の立ち入りができる「居住制限区域」にあった。
人通りの絶えた商店街。今月6日、店の解体が始まった。片付けに訪れた根本さんがシャッターを開けると、プラモデルやぬいぐるみがほこりをかぶっていた。店は解体後、更地になる。「残念だね。でも、ここが解体されたら未練も捨てられるかな」と根本さんがつぶやいた。
35年前、富岡町にできた大型商業施設で店を始めた。町内初のおもちゃ専門店はにぎわった。2005年に町内の自宅1階の倉庫に店を移した。模型づくりはそのころからの趣味だ。量販店で買った木材を削ってパーツを作り、色をつけて組み立てる。
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