氷の口移し強要や同僚女性を羽交い締め…警官7人を処分
福岡県警留置管理課の警察官らが、同僚の女性警察官に集団でわいせつな行為をしたなどとされる問題で、県警は2日、男性警部補(58)ら7人を停職などの処分にし、発表した。
県警はこのうち、2015年9月に福岡市であった課内の飲み会で同僚女性を羽交い締めにし、3分間にわたって体を触るなどしたとして、この警部補と同課の別の男性警部補(57)を強制わいせつの疑いで2月1日に書類送検した。
2人はそれぞれ「女性に近づいたらそっぽを向かれたのが気に入らず、やってしまった」「酒の席が盛り上がると思った」などと容疑を認めているという。
監察官室によると、2人は飲み会で別の男性警察官に「氷の口移し」の宴会芸をやらせるなどのパワハラ行為も繰り返したとして、停職1~3カ月の懲戒処分。ともに今月2日付で依願退職した。
また、2人のわいせつ行為を手助けした男性巡査長(30)を減給3カ月(10分の1)とし、その様子をスマートフォンで連写撮影した男性巡査部長(29)を本部長訓戒とするなどした。
さらに同課の女性警察官に対し、「ブス」などとセクハラの言動を14年ごろから繰り返したとして、男性警部補(42)を所属長訓戒処分とした。
県警は「逃走や罪証隠滅のおそれがない」として警部補らを逮捕せず、内部の処分であることを理由に氏名も公表していない。
性犯罪に詳しい甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)は「(強制わいせつという)罪名からすれば単に書類送検で済まされる話ではない。身内に甘い処分ではないか」と指摘。女性が少ない警察組織は男中心の価値観で動いており、上命下服の古い習慣のせいで地位を利用したパワハラ・セクハラが起こりやすいとし、「日頃から警察全体で啓発に力を入れないといけない」と話した。
■福岡県警が発表した処分の内容
【停職3カ月】
①男性警部補(58)=飲み会での強制わいせつ、「ブス」などの日常的なセクハラ発言、宴会芸の強要によるパワハラ
【停職1カ月】
②男性警部補(57)=飲み会での強制わいせつ、宴会芸の強要によるパワハラ
【減給3カ月(10分の1)】
③男性巡査長(30)=①と②のわいせつ行為を手助け
【本部長訓戒】
④男性巡査部長(29)=①と②のわいせつ行為をスマートフォンで撮影
【所属長訓戒】
⑤男性警部補(42)=「ブス」などの日常的なセクハラ発言
【戒告】
⑥男性巡査部長(47)=同僚の男性を平手打ちしたり殴ったりするパワハラ
⑦男性警部(58)=監督責任
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