警察から児相へ虐待通告、初の5万人超 心理的虐待7割
虐待を受けているとして警察が昨年、児童相談所(児相)に通告した18歳未満の子どもは5万4227人だった。前年より46・5%多い。統計がある2004年から12年連続で増え、初めて5万人を超えた。警察庁が9日発表した。
同庁は「虐待に対する社会の関心の高まりを背景に、通報が増え、積極的に対応した結果ではないか」とみている。
刃物を示して脅したり部屋に閉じ込めたりする心理的虐待が前年より5割以上多い3万7183人で、全体の7割近くを占めた。そのうち、子どもの前で配偶者らに暴力を振るう「面前DV」が2万4998人に上る。身体的虐待は1万1165人、育児放棄(ネグレクト)が5628人、性的虐待が251人。
事件として親や養親らを摘発したのは、無理心中や出産直後の殺人なども含め、31・5%増の1081件、被害者数は1108人で、ともに過去最多。事件の8割を身体的虐待が占める一方、心理的虐待は事件化が難しく、摘発数の2・9%にとどまる。亡くなった子どもは無理心中などを含め、9人増の67人。
また、通告とは別に警察が児相や市町村に情報提供したのは1万6141件で、前年の4・3倍に増えた。この一部は通告に至っている。警察庁は昨年4月、警察官が現場で虐待の疑いが認められないと判断したケースでも、児相や市町村に取り扱いがないか照会するなどして情報共有するよう全国に指示し、情報提供の増加につながった。
警察庁は昨年の児童ポルノ事件の状況も発表した。摘発は8・2%増の2097件、被害に遭った子どもは45・1%増の1313人で、ともに過去最多を更新した。(編集委員・吉田伸八)
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