マラソンコース、「330度の視界」 北海道・中標津
長い直線の終わりは急な上り坂。ダッシュで駆け上がる中標津十二楽走のメンバー。背景には知床半島から連なる山並みが見える=中標津町、神村正史撮影
中標津町に町内外の市民ランナーに人気の練習場所がある。「330度の視界」をうたう観光名所・開陽台のふもとを回るハーフマラソンコース(約21キロ)で、厳冬期でもほぼ毎週末、ランナーたちが走り込んでいる。
ここをホームグラウンドにしている地元ランニングサークル「中標津十二楽走」(富田光夫会長)の練習会に参加させてもらった。
零下5度ほど。ウィンドブレーカーに身を包み、町運動公園をスタートする。6キロほどで根室中標津空港のそばを過ぎると、眼前に武佐岳(1005メートル)の絶景が飛び込んでくる。この辺りからは路面にほとんど雪がない。集団のペースはぐんと上がり、アップダウンの激しい林間の長い直線に突入した。
郊外は交通量が少ない。目に映るのは、冠雪した山並みと白銀の牧草地。聞こえるのは、野鳥の声と足音だけだ。会員の会社員、森信和さん(48)は「知床まで見える景色が素晴らしい」と月150キロは走る。
「開陽台マラソン」は2009年7月に始まった。当時の町長が、町民からの強い要望に応えたという。翌年の第2回大会は宮崎県で口蹄疫(こうていえき)が発生した影響で中止されたが、以降は毎年開催。今では全国から1千人以上が参加する町の一大イベントに成長した。
ASAHI.COM