浄土ケ浜の歌声、甲子園に響く 不来方の生徒が国歌独唱
開会式で国歌を独唱する竹内菜緒さん=19日午前9時22分、阪神甲子園球場、上田博志撮影
(19日、選抜高校野球 開会式)
「被災地を勇気づけたい」。開会式で国歌を独唱したのは、昨年の全日本学生音楽コンクール全国大会声楽部門で1位に輝き、この春に不来方(こずかた)を卒業する竹内菜緒(なお)さん。幼い頃を過ごした岩手県宮古市を思い、甲子園に歌声を響かせた。
竹内さんは3歳から6歳までを宮古市で過ごした。楽しみだったのが毎年春に開かれる「浄土ケ浜まつり」だ。エメラルドグリーンの海を背に歌うと、お客さんからたくさんの拍手と笑顔が返ってくる。「宮古は歌を好きになった特別な場所です」
6年前の震災で宮古市の沿岸は大きな被害を受けた。盛岡市に移っていた竹内さんは胸を痛め、被災地で開かれる復興を願うコンサートに何度も参加した。
大会には後輩たちも出場している。今年2月、浄土ケ浜へ足を運んだ。「野球部や宮古はもちろん被災地を思って歌おう」と心に決めた。
本番、表情豊かな息づかいで歌った。生き生きとして力強い歌声が、浜風に羽ばたいた。「選手全員に力を出してもらえるよう声に願いを込めました」(渡辺朔)
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