パレスチナ難民支える「母子手帳」、アプリ版運用開始へ
電子化されたパレスチナ難民母子手帳のスマートフォン画面(UNRWA提供)
パレスチナ難民の母子手帳の電子版が、国連と国際協力機構(JICA)の協力で完成した。4日から、約200万人のパレスチナ難民が暮らすヨルダンで運用が始まる。スマートフォンのアプリで母子の健康情報を管理し、万一、紙の手帳がなくても避難先で継続した健診が可能になる。
母子手帳は日本で戦後に考案され、母子の死亡率低下に貢献したとされる。日本のNPOやJICAが途上国での普及を進め、現在は約40カ国で広がっている。パレスチナでは2008年に導入され、パレスチナ自治区とヨルダン、シリア、レバノンの難民キャンプなどで生まれる新生児に、自治政府と国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が手帳を配布してきた。
母子が受診するUNRWAの診療所で電子カルテが整備されてきており、母子手帳に記録される情報も電子化されてきた。カルテの情報を母子手帳のアプリに送ることで、スマホでも見ることができる。
イスラエルとの紛争や、シリアの内戦悪化で避難が必要になる事態もある。翻訳ソフトでアラビア語から他言語への変換も可能で、JICA国際協力専門員の萩原明子さん(54)は、「逃げる時に母子手帳を無くしても、スマホで見られれば避難先で継続した健診が受けられる」。UNRWA保健局長の清田明宏さん(56)によると、ヨルダンでは母親の8割がスマホを持っており、「母子手帳を使いやすい形で届けられるようになる」という。
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