奈良少年刑務所が閉鎖 砂の人形で教えた「命の重み」

写真・図版赤ちゃん人形を抱く乾井智彦さん=奈良市般若寺町の奈良少年刑務所

 奈良少年刑務所(奈良市)が3月31日、老朽化のため閉鎖され、146年の歴史に幕を閉じた。26歳未満の初犯の男性受刑者を中心に、平成以降で最大約900人を収容してきた。3月まで残った職員は約180人。ベテラン職員が受刑者と過ごした日々を振り返った。

最終日。午前8時15分、職員約30人は点呼のため庁舎前の中庭に整列した。「ピーッ」。きびきびした動きで順に笛を吹き、背筋を伸ばして敬礼した。

教育専門官として高卒認定試験の受験指導などを担当した乾井智彦さん(58)は29年間勤めた。

「先生、俺のドロドロした話を聞いてくれ」。殺人を犯した少年はそれまで心を開かず、母親との面会にも応じなかった。毎日、日記指導や面接を重ね、3年経ったころ切り出したという。

涙と鼻水を流しながら、どうやって人をあやめたかを語った少年。この日を境に心が安定し、「出所したら母や妹を支えないと」と話すようになった。別の受刑者には「人殺しってのは一生消えへんけど、俺は先生に全部話せた」と話していたという。

ASAHI.COM

 

Rating 3.00 out of 5

No Comments so far.

Leave a Reply

Marquee Powered By Know How Media.