吉原遊郭、今昔ガイド本専門店 客の6割女性、なぜ?

写真・図版遊郭関連の本の著者と話す店主の渡辺豪さん(左)=東京都台東区千束4丁目

江戸最大の遊郭があった吉原(東京都台東区)に昨年9月、遊郭や色街専門の書籍を扱う「カストリ書房」がオープンした。趣味で遊郭について調べていた渡辺豪さん(39)が、ゼロから本の世界に飛び込んだ。「好きが高じて」の店かと思いきや、ビジネスチャンスを見いだしていた。

吉原の入り口「吉原大門」近くの路地。古い建物の1階にカストリ書房はある。10平方メートル足らずの売り場には、遊郭や赤線について明治時代以降に書かれた古本や復刻版が所狭しと並ぶ。「近現代の色街資料館」といった趣だ。

「こんな不便な所に本屋があっても、わざわざ来る人はほとんどいない」。開店前、渡辺さんは周囲にそう言われたという。

IT企業に勤めていた時、旅行で各地を巡ると、遊郭や赤線の跡地に出くわすことがしばしばあった。スナックが密集していたり、民家とは異なるデザインの廃虚があったり。そんな体験が続くうち、旅行の目的地が「遊郭の跡」に変わっていった。「性欲や金銭欲というはっきりした動機でつくられた建物のデザインや、過去を引きずっているような街並みを、美しいと感じたんです」

もっと調べようとしても、なかなか資料がない。運良く古本屋で絶版になった本を見つけても、10万円を超える高額な本も。「復刻して安く売れば、みんな買うんじゃないか」と考えたのが、本の世界への第一歩だった。

ASAHI.COM

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