中国で広がる日本式の「ゆ」 清潔・サービスにこだわり
温浴施設「大江戸」の浴室。炭酸風呂や露天ぶろ、サウナも備え、日本国内の温浴施設と比べても遜色がない=中国遼寧省瀋陽、平賀拓哉撮影
日本式「温浴施設」の人気が、中国で高まっている。上海では東京の「大江戸温泉物語」と同名の施設がオープンして話題となったが、地方都市では日本企業も「ゆ」の良さを広めている。訪日旅行客の増加で日本の文化や風習を気に入る層が増えたことも、人気の背景にありそうだ。
桜の造花の前で記念写真を撮る浴衣姿のカップル、店内の日本食レストランですき焼きやお好み焼きを楽しむ家族連れ……。中国東北部の遼寧省瀋陽ではいま、日本風の温浴施設「大江戸」が大人気だ。2015年5月に開業した1号店では、冬の週末には1日2千人が訪れるほどの盛況ぶりで、昨年10月には2号店もオープンした。
地元では「大江戸温泉」として親しまれているが、経営するのは日中両国で飲食店を展開する日本企業で、東京・お台場の「大江戸温泉物語」とは無関係。施設を企画した温浴施設コンサルタント会社の菅原恒二代表取締役は「『大江戸』は地方の中国人にも日本文化を感じる名前として浸透してきている。店内には桜や鳥居など、日本文化を体験できる仕掛けをそろえた」と話す。
冬は零下20度以下にもなる瀋陽ではもともとサウナや銭湯が多いが、入浴方法は日本と異なる。洗い場には共用のゴムサンダルを履いて入るため、床が泡などで汚れていてもお構いなし。そのサンダルを履いた足で浴槽に入り、タオルを浴槽に入れる客もいるため湯がすぐに汚れてしまう。
さらに、従来の温浴施設ではひそかに性的なサービスを提供する店もあったため、女性や家族連れは敬遠しがちな所だった。
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