「忖度」英訳できない? 霞が関官僚「あるべき姿」
学校法人「森友学園」(大阪市)はなぜ、国有地を格安で入手できたのか。学園への国有地売却問題をめぐり、「忖度(そんたく)」という言葉が飛び交っている。
「(役人が)忖度をしたということでしょう」。3月23日にあった日本外国特派員協会での会見。国有地売却に絡む質問に学園の籠池泰典氏がそう答えると、通訳は「read between the lines(行間を読む)」と忖度を英訳した。だが籠池氏の弁護士らとやり取りした後、「英語で直接言い換える言葉はない」としてこう言った。「sontaku(忖度)」
籠池氏はこの日、国会の証人喚問で、あるファクスの文面を明らかにした。学園が建設予定だった小学校の名誉校長に、安倍晋三首相の妻、昭恵氏が就任していた時期。国有地について籠池氏から要望を受けた首相夫人付の政府職員が、財務省に問い合わせた結果を籠池氏に報告する内容だった。野党側は「夫人付(職員)が動いたことは非常に大きなこと。忖度が働いても仕方がない状況がある」として政府への追及を強めた。
これに対し、安倍首相は「籠池氏側の要望にそういうことはできないときっぱりお断りをしたと承知しており、ゼロ回答で、忖度していないことは明らか」とした。
首相夫人付職員からの照会は、役所にどう受け止められるのか。
厚生労働省で課長補佐の経験がある神戸学院大学の中野雅至教授(行政学)は「政治家から省庁に問い合わせが来ることは日常茶飯事で、通常は課長か課長補佐レベルで対応していた」と話す。そのうえで「首相夫人付からであれば、現場レベルでは責任を負いきれない。省庁の局長級にまで報告を上げて対応する案件だろう」とも推測する。
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