「バーンと音、数分後に炎」 ストックホルムのテロ
トラックが暴走した歩行者専用道一帯は、8日も警察による封鎖が続いていた。多くの市民がバラの花やキャンドルを手向けに訪れ、犠牲者を悼んでいた=ストックホルム、渡辺志帆撮影
スウェーデンの首都ストックホルム中心部で7日、トラックが歩行者専用道を暴走した事件は、死者4人、重傷者10人の惨事となった。警察は8日、ウズベキスタン人の男(39)を殺人によるテロ行為の容疑で逮捕したと発表した。また、トラックの運転席から不審な装置が見つかったと明らかにした。地元メディアは、装置は爆発物と報じた。
事件は7日午後3時(日本時間7日午後10時)ごろにストックホルム最大のショッピング街で起きた。公共放送SVTなどによると、トラックが買い物客でにぎわう歩行者専用道を約500メートルにわたって猛スピードで南へ暴走。通行人をはね、老舗百貨店オーレンス1階に突っ込んで止まった。「ジグザグ走行していた」との目撃情報もある。直後にトラックは炎上を始め、実行犯は現場から逃走した。
事件当時、デパートの向かいの衣料品店「H&M」の3階事務所にいた男性社員(28)は朝日新聞の取材に、「バーンと大きな音と人々の悲鳴が聞こえた。最初は工事現場の事故かと思った。窓から見下ろすとトラックの周囲に複数の人が倒れ、明らかに息絶えている女性もいた」と話した。1~2分してトラックから炎が上がり始めたため、爆発するかもしれないと思い、建物の反対側へあわてて避難したという。男性は「犠牲者を追悼したい」と8日に現場を訪れた。
事件から一夜明けた8日朝(日本時間8日午後)も、現場一帯は規制線が張られ、警察の捜査が続いた。路上には救急隊が使ったとみられるオレンジ色の毛布や壊れた信号の部品が散らばり、ライオンの形の車止めの石像が転がったままになっていた。
現場には多くの市民が追悼に訪れていた。現場に隣接したホテルに妹(19)と滞在中の会社員テス・ニルソンさん(23)は8日朝、規制線の下にバラの花を手向けた。「事件は1時間前に買い物で通った道で起きた。連続したテロかもしれないと思うと、怖くて昨日はホテルから出られなかった。ショックを受けている」と話した。
警察は8日、逮捕されたウズベキスタン人の男は過去の治安捜査線上に浮上したことのある人物だったと明らかにした。この男がトラックを奪って暴走させた実行犯との見方を強めている。
地元メディアはまた、男はストックホルム郊外在住の建設作業員で、フェイスブック上で過激派組織「イスラム国」(IS)への共感を表明していたと報じた。またSVTによると、別の男1人をストックホルム北部ユールスタで逮捕した。今回のテロに関する犯行声明などは確認されていない。(ストックホルム=渡辺志帆)
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