東大総長「知に裏打ちされた言葉を鍛えて」 入学式で
東京大学の入学式が12日、日本武道館(東京都千代田区)で行われ、約3千人の新入生が出席した。五神真(ごのかみまこと)総長は式辞で「言葉を大切にしよう。情報の海におぼれてのみ込まれてしまうのではなく、知に裏打ちされた言葉を自ら鍛え上げる必要がある」と呼びかけた。
五神総長は、昨年の英国の欧州連合(EU)離脱決定や、トランプ氏が当選した米大統領選などの背景に、「人間の知性の力に絶望し、知を否定するような動きが目立つ」と指摘。SNSなどの新たな情報メディアの広がりで人々の事実や真実に対する感覚が変わりつつあるとし、「事実に基づく反論よりも感情に訴える一方的な断定が大きなうねりとなり、偽りの共感を生み出してしまう」と懸念を示した。新入生には「他者を尊重し、冷静な対話を通じて真の共感を作り上げる努力を惜しんではならない」と語りかけた。
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