もふもふ感たまらない ツキノワグマの赤ちゃんに大接近

写真・図版仰向けになってあどけない表情を見せるツキノワグマの赤ちゃん=竹谷俊之撮影

「ある日、森のクマさんに出逢いませんか」。岐阜県高山市奥飛騨温泉郷にある奥飛騨クマ牧場のキャッチコピーだ。牧場周辺の山々に雪が残る4月上旬、クマの赤ちゃんに会えると聞き、360度カメラを持って出掛けた。

小型のケージからヨチヨチと出てきたのは、1、2月に生まれたツキノワグマの子グマたち。今年生まれた13頭のうち、人工保育している5頭だ。

まだ歩くのもおぼつかないのに、あごの下には大人と同じ白い「月の輪」がくっきり見える。毛並みはパサパサした感じで獣臭さはない。そっと抱っこしてみると、ふっくらした子犬のようだ。体重約2・5キロ、体長約40センチ。このサイズ感、もふもふ感……まるで「動くぬいぐるみ」だ。しかし、爪だけは赤ちゃんとは思えない鋭さだ。足にしがみつかれると、ジーンズの上からでも少し痛かった。

調教師の金光博さん(54)と中野綾子さん(33)が1日3回、人間用と犬用の粉ミルクに蜂蜜を入れた「特製ミルク」を与えている。金光さんはクマの調教歴約30年のベテラン。人工保育に切り替えた5頭は、お客さんとのふれあいに活躍する候補たちだという。子グマたちは順調に育っており、「子グマ独特の毛並みや、プヨプヨの肉球などに触れたり、見たりして、一番かわいい時期を感じて欲しい」という。

牧場は1976年に開設。4月現在、ツキノワグマ107頭(子グマ13頭を含む)、ヒグマ1頭を展示している。ツキノワグマは本州の山地に生息。名前の由来になっている胸の月の輪の大きさは個体によってさまざま。夜行性で木登りが得意。雑食で果実、木の実、昆虫や魚などを食べる。例年、牧場では4月半ばごろから子グマを抱いて記念撮影ができるイベントを行っている(入場料とは別に税込み1千円)。問い合わせは牧場(0578・89・2761)。(竹谷俊之)

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