中村獅童と初音ミク「共演」 ニコニコ超会議で超歌舞伎

写真・図版超歌舞伎「花街詞合鏡」で共演する中村獅童と初音ミク(ドワンゴ提供)

 ユーザー参加型動画サイト「ニコニコ動画」が、ネットの中の現象をリアルの世界に再現するというコンセプトで開く「ニコニコ超会議2017」が、今年も29日、千葉・幕張メッセで開幕した。

大きな話題の一つが、「超歌舞伎」の「花街詞合鏡(くるわことばあわせかがみ)」。超歌舞伎は、歌舞伎俳優・中村獅童とバーチャルシンガー・初音ミクの共演で昨年初めて上演され、優れたデジタル作品に贈られる「デジタル・コンテンツ・オブ・ザ・イヤー」(デジタルメディア協会主催)大賞に選ばれた。

今年は舞台を花街に移し、花魁(おいらん)の傾城初音太夫(初音ミク)とだて男・八重垣紋三(中村獅童)の恋模様を、初音太夫に横恋慕する蔭山新右衛門(澤村國矢)の激しい嫉妬を交えて描く。邪竜「青竜」の力を宿す新右衛門と、伝説の白狐(びゃっこ)の力を受け継ぐ紋三の戦いは、やがて分身の術、火炎の術など、人知を超えた超能力のぶつかり合いへと発展していく。

その超能力の戦いを描くために、NTTのデジタル技術がふんだんに盛り込まれた。分身の術では、役者の姿だけをリアルタイムで切り取って抽出し、それをスクリーンに即座に投影する「Kirari!」を活用、獅童と國矢の姿が三重にも四重にも分かれて舞台上に出現する。さらに「波面合成」という新技術を活用、会場を囲むように設置した240台のスピーカーを使って、立体的な音の空間を客席内に作り出す。たけり狂う青竜が上空を駆け巡る場面では、観客の耳元で暴風が吹きすさぶような生々しい音を再現する。

主演の獅童は「歌舞伎は伝統芸能と言われているが、元はといえば江戸時代の庶民の娯楽。その時代時代に人々が楽しむものと融合し、新しい姿を見せていくのは自然なこと」と語る。そんな歌舞伎らしいけれんを、最新のテクノロジーを用いて徹底的にショーアップしたのがこの舞台だ。客席からは、獅童への「萬屋(よろずや)!」、新右衛門への「紀伊国屋!」といったなじみの屋号に加え、ミクへの「初音屋!」、NTTへの「電話屋!」といった新しい屋号への掛け声が盛んに飛んだ。

今回は初音ミクに加えて、音声合成技術UTAUを基に作られた「重音(かさね)テト」も舞台に登場した。ミクとテトの姿は、ステージ上に設けられた透過型スクリーンに背後からプロジェクターで投影。バーチャルな歌姫たちがリアルな役者たちの間に浮かぶ姿は、これもまた歌舞伎らしい夢物語のような雰囲気を、舞台にもたらしていた。

ニコニコ超会議は30日まで。超歌舞伎は、30日も午後1時、午後4時の2回上演される。

ASAHI.COM

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