おもひでぽろぽろ、四半世紀でロケ地激変 紅花作り続く

山形市の中心部から北東の山あい。4月上旬、山形市高瀬地区の村山高瀬川には透明な雪解け水が勢いよく流れていた。

その上にかかる一本の橋「下渡戸橋」を、アニメ映画「おもひでぽろぽろ」の主人公タエ子は、農家の青年トシオの運転する車で渡っていく。峠道の先に広がるのは、一面に黄色い花を咲かせた紅花畑だ。タエ子の人生を左右する10日間の田舎暮らしが、この橋の向こう側で始まる。

その高瀬地区を、高畑勲監督が訪れ、作品のモデルにした。案内役を務めたのは、紅花農家の故井上市郎さん。紅花作りの指導もしたという。

スタッフたちは1990年7月から約1年間、断続的に高瀬地区を訪れては、スケッチや写真撮影、録音作業をしていった。作品を公開する約2週間前にも、紅花から汁を搾るわずか数秒分の音を録音するために東京からスタッフが来たという。

だが、それから四半世紀以上が経ち、高瀬地区の「ロケ地」の多くは姿を変えてしまった。

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