オバマケア代替法案を米下院可決 実現にはハードル
米下院は4日、医療保険制度改革(オバマケア)を撤廃・代替する新たな法案を採決し、賛成217、反対213の僅差(きんさ)で可決した。トランプ大統領が公約に掲げた看板政策がようやく下院を通過したものの、上院での審議は難航が予想される。実現のハードルは高く、トランプ政権が強調する「政治的勝利」にはほど遠い。
トランプ氏はホワイトハウスで「オバマケアは事実上、終わった」と宣言。「代替制度は素晴らしいプランで保険料は下がる」と強調した。
政権と共和党執行部は当初、3月に代替法案の下院通過を目指した。共和党は過半数を握るが党内をまとめきれず採決を断念。トランプ氏は最優先で実現を目指した政策で大きくつまずいた。
焦点となったのは、既往症を持つ人に対する高額保険料を免除するオバマケアの規定。保険会社を監督する州に免除するかどうかの裁量権を持たせるように修正したことで、免除に反対していた保守強硬派の賛成を取り付けた。しかし、既往症を持つ人の負担が膨らむことを懸念した穏健派がこれに反発。トランプ氏が目指した就任100日目の4月29日までの下院採決ができなかった。新法案では5年間で80億ドル(約9千億円)の援助策を追加したことで、穏健派が同意した。
法案は上院での審議に移るが、野党民主党の強い抵抗が予想され、下院以上に難航しそうだ。共和党は上院でも過半数の52議席を占めるが、下院案に修正を求める意見も多い。
政権はオバマケア代替制度で政府支出を削減できると主張し、捻出分を大型減税に充てる考えを示してきた。トランプ氏は代替制度により「税制改革は良い内容になる」と説明しているが、財源の裏付けなどは示していない。(時事)
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