「共謀罪」に地方議会の反対相次ぐ 57自治体が意見書

写真・図版共謀罪について意見書を可決・採択した議会

共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法改正案をめぐり、全国の地方議会で反対や慎重な審議を求める意見書が相次いで可決されている。朝日新聞の22日のまとめでは、国に意見書を送ったのは沖縄県の2町村など全国の計57自治体。法案は23日に衆院本会議で採決される見通しだ。

意見書は4月上旬、衆院事務局のまとめで36件だった。今回は内閣官房への聞き取りや独自取材なども含めて集計した。

沖縄県中城村議会は今月9日、廃案を求める意見書を賛成多数で可決した。米軍基地への抗議行動への影響を懸念し、「沖縄県民の正当な反基地、平和運動が真っ先に『テロ等準備罪』の標的となり、激しい弾圧の対象となるのは火を見るより明らか」とした。

意見書案を提出した新垣徳正議員は、米軍普天間飛行場辺野古移設への抗議行動に加わっている。「国策に反発している沖縄の市民運動は『共謀罪』の影響を最も受けやすい。危機感をもってできることをやった」と話した。

保守系の議員が意見書に賛成した自治体もある。

愛知県岩倉市議会は今月9日、「共謀罪」法案について、国に慎重な審議を求める意見書を全会一致で可決した。テロ対策の重要性を認めつつも、一般市民が取り締まりの対象になる可能性や捜査機関による監視範囲の拡大などへの懸念を指摘。「十分に時間をかけて議論し、幅広い観点から慎重に審議することを強く要望する」とした。

大野慎治議員は保守系で「基本的には賛成」としながらも、「娘がいる父親として、(性犯罪の厳罰化を盛り込んだ)刑法改正案の成立を優先すべきで、順番が逆ではないのか」と疑問を投げかける。

法案は19日に衆院法務委員会で可決されたが、同じく保守系の黒川武議長は「解明されなかった疑問が、今後の論争で明らかになることを期待したい。国の問題であっても、市民の安全安心に関わることには地方議会からも発言していくことが大事だ」と指摘した。同市議会は2015年にも、安保法制に関して慎重審議を求める意見書を可決している。

一方、同じ愛知県内の長久手市議会は今月18日、反対の意見書案を審議したが、否決した。2014年には、保守系議員の一部が賛成に回って、「解釈改憲による集団的自衛権の行使容認に反対する意見書」が可決されたが、今回は賛成6、反対11となった。

ASAHI.COM

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