古坂大魔王も感心 大阪市営地下鉄の警笛音の謎
電子警笛が聞こえるかな? 撮影に協力してもらった大阪市立大学鉄道同好会のみなさん。「大阪を象徴する音です!」=堺市のなかもず駅、滝沢美穂子撮影
「まだまだ勝手に関西遺産」
大阪市営地下鉄の警笛音は、「こだわってる!!音色」という。
ある晩、音楽バラエティー番組「関ジャム 完全燃SHOW」(テレ朝系、日曜夜11時10分)を見ていると、ピコ太郎のプロデューサーとして一躍有名になった古坂(こさか)大魔王が力説していた。
えっ? 仕事でしょっちゅう乗っているけれど、そんな貴重な音とは知らなかった。早速、御堂筋線のホームで耳を澄ませた。「ブァーン」というパイプオルガンのような、やわらかい響きが聞こえてきた。
大阪市交通局によると、もともとは「プヮーン」と鋭く響く「空気笛」を採用していた。しかし、地下鉄の場合、電車が駅に入線するときはもちろん、駅を出発するときも、トンネル内にいる作業員に接近を知らせるため、警笛を鳴らすのがルール。地下では、地上よりも警笛音が響くため、乗降客を驚かせることも少なくなかった。そこで、1989年、聞き心地のよい電子警笛を採用することを決めたという。
ただ、大阪市営地下鉄の警笛音は、空気笛に似た一般的な電子警笛の音とも違う。この音は、どうやって生まれたのか。
交通局の末吉真歩(すえよしまほ)さん(24)に聞くと、当時車両部に所属していた、音楽が趣味の男性職員がシンセサイザーで作曲したという。職員はすでに退職し、詳しい経緯はもう分からない。楽譜も残っておらず、録音の音源をメーカーに渡し、新型車両を導入するたびに、電子警笛の装置を製造してもらっている。
そのメーカーである「八幡電気産業」(東京都港区)を訪ねた。
全国40社以上の鉄道の電子警笛装置をつくっている。大阪市営地下鉄の警笛音は、音源がデータとして残っている。営業部主任の山中豊さん(34)は、こう話す。「一般的な電子警笛より低い音で、すごく珍しくて一番変わっている。30年近くも社内で引き継がれてきた音源データなので、絶対になくせないですね」
実は、大阪市交通局では、数年前にこの音の正体を突き止めようという機運が持ち上がった。絶対音感を持つと自負する職員3人が電子警笛の音を聴き、「ミラド#」の和音で構成されていると確定した。「長年の謎が明らかになった」と話題になったそうだ。
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