新潟の謎メシ「オッチャホイ」 佐野史郎さんもとりこ
シンガポール食堂で一番人気の「皿オッチャホイ」。ニンニクと唐辛子がきいた塩味だ
「オッチャホイ」って知ってますか? 新潟県新発田市の食堂で70年ほど前から出されている東南アジア風の麺料理。地元では誰もが知るソウルフードらしい。不思議な響きの謎を追った。
赤いネオンサインで書かれた「シンガポール」の文字。入り口のドアには「オッチャホイ持ち帰りできます」と貼り紙がある。新発田市の中心商店街のなかで、そこだけアジアの風が感じられる。
皿に盛られたオッチャホイは幅広いきしめんのような麺で、見た目は焼きうどん。ふわんと鼻をくすぐるニンニクの香り。具材は卵、モヤシ、小松菜、キャベツとシンプル。唐辛子が効いた塩味は、やっぱりアジアの雰囲気。でも、気になるのは名前の由来……。
店を切り盛りする中村ミツ子さんは「皆さんからよく聞かれるんだけどね、分からないんだ」
亡くなった夫・秀雄さんの父が名付けたと聞いたものの、秀雄さんも由来は知らなかった。聞かれるたびに「オレだって分からね」と話していたという。
食堂は戦後間もない1946年、バラック建てから始まった。秀雄さんの父は戦前にシンガポールでホテルを経営していて、食べ歩きが趣味だった。現地の味を再現したというオッチャホイは、創業から5年ほどしてメニューに加えた。昭和40年代半ばにテレビCMを流すと、一気に人気メニューになった。
オッチャホイは、定番の皿のほか、エビ、肉、汁の4種類。昼も夜もこの名物目当ての客で店はにぎわっている。独特の食感を出すため、仕込みは毎日3時間。7年前に秀雄さんが亡くなった時も、ミツ子さんは葬式の翌日から店を開けた。夏休みや連休になると、海外からも懐かしい味を求めて客がやってくる。親子3代の常連も珍しくない。まさに、地域に根ざしたソウルフードといえる。
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