加計新文書、追い込まれ公表 政権動揺「都議選が…」

写真・図版自民党役員会に臨む安倍晋三首相(左)。右端は萩生田光一官房副長官=20日午前9時33分、東京・永田町の党本部、岩下毅撮影

学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設をめぐり、新たな文書が明らかになった20日、安倍政権は内容の否定に追われた。だが、首相が具体的な開学時期に触れていたと記されるなど、文書の内容はこれまでに発覚した一連の文書と符合するところもある。野党は説明責任を問う構えで、与党内には、23日告示の東京都議選への影響を懸念する声も出ている。

「政策と関係ない議論に多くの時間が割かれ、国民に大変申し訳ない。つい強い口調で反論する私の姿勢も深く反省している」

20日朝、自民党本部で開かれた党役員会。安倍晋三首相は前日の記者会見の発言をなぞるように、自らの国会対応を「反省」した。さらに、こんな言葉で党内の引き締めも図った。

「築城三年、落城一日。創業はできても、続けることは難しい」

獣医学部新設をめぐり、首相側近の萩生田光一官房副長官の関与を疑わせる新たな文書の存在が発覚したのは、19日夜のNHK「クローズアップ現代+」の放送。官邸幹部は「怪文書に近い類いのもの。紙が出てきたからって、政府が対応するような話じゃない」と不快感をあらわにしたが、一夜明けた20日、松野博一文部科学相が文書の公表に追い込まれた。

19日夕の首相会見でこの問題に区切りをつけるどころか、さらなる対応を迫られた格好で、告示が迫る都議選への影響が現実味を帯びてきた。それだけに、野党は攻勢を強める。

民進の蓮舫代表は20日の党会合で「首相は説明責任を果たすと言った。堂々と国会で答弁してもらいたい」と強調。共産の志位和夫委員長も記者会見で「これは疑惑の核心だ。野党4党が結束し、集中審議と関係者の証人喚問を強く求め、真相究明のために手を尽くしたい」と訴えた。

政権は火消しを図るが、動揺も見え隠れする。菅義偉官房長官は20日の会見で「総理はまったく関与していないと明快に申し上げている」と強調。ただ首相自身による会見などでの説明は「考えていない」と否定した。

萩生田氏側は同日午前、記者団の取材にいったん応じる姿勢をみせたが、直前になって取りやめ。午後になり、書面で文書の内容を全面否定するコメントを発表した。政権内には「加計問題をめぐる情報はこの文書で最後だ」(官邸幹部)との見方もあるが、国政と都議選が連動しかねない状況に、与党は危機感を強めている。

小池百合子都知事との全面対決を避ける狙いもあり、国政と都議選を切り分ける言いぶりが目立っていた自民の二階俊博幹事長。20日に都内であった同党衆院議員のパーティーでこう発破をかけた。「東京は日本のシンボルだから、あまり無様な選挙結果を迎えると都政だけでなく国政にも影響してくる」(久永隆一)

ASAHI.COM

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