小池氏と自民の対立、再び ドン後継擁立の千代田で火花

写真・図版都議選が告示され、候補者の第一声を聞く有権者ら=23日午前10時5分、都内、山本裕之撮影

東京都議選が23日に告示された。東京都知事地域政党を率いて自ら都議選にのぞむのは、戦後初めてのことだ。小池百合子都知事と自民党の対立構図。それが象徴的に表れているのが千代田区の選挙区だ。1議席をめぐって、激しい論戦が始まった。

「古い議会、忖度(そんたく)だらけの議会、一部の利益団体ばかりを見ている議会を、もうやめようじゃありませんか」。小池氏は23日午前、千代田区のJR有楽町駅前で演説に立ち、都議会第1党の自民党をこう批判した。地域政党「都民ファーストの会」を率いて、公明党などを合わせた支持勢力で過半数獲得をめざす。

自民党麻生太郎・副総理兼財務相が千代田区に入った。築地市場の移転問題で、豊洲に移転し、築地も再開発する方針を表明した小池氏を「豊洲にするか何にするか、決めきらないのが一番困る」と批判した。

この千代田区選出の都議で、小池氏が「都議会のドン」と敵視してきたのが元自民党東京都連幹事長の内田茂氏(78)だ。

2人の確執の始まりは昨夏の知事選にさかのぼる。自民都連に所属していた小池氏は都連に推薦を依頼したが、幹事長だった内田氏ら執行部は「言うことを聞かない人」(都連幹部)と冷遇。無所属で立候補した小池氏は「都連はブラックボックス」と訴え、自民推薦候補を破って圧勝した。

今回の都議選では、七つの1人区で自民党と都民ファーストの会が直接対決する。とりわけ、内田氏が後継者を立てた千代田区に注目が集まる。

「都民ファーストは、選挙で受かって議員になるのが目的になっている」

自民党千代田区で擁立した会社員の中村彩氏(27)は、都民ファーストをこう批判する。小池氏が塾長を務める政治塾の元塾生。その後、自民党の公募を受けて公認候補に選ばれた「隠し球」(都連幹部)だ。政治塾で教わったことは「小手先の技術、選挙のやり方だ」と厳しい。

内田氏も都民ファーストについて、議会が知事のチェック役となる「二元代表制」が危ぶまれると批判する。「二元代表制が、小池氏の一元代表制、異次元の世界にされてしまう」

築地市場の移転問題で、都庁幹部にも直前まで方針を明かさなかった小池氏の手法なども取り上げ、「どっちがブラックボックスなんだ」と批判する。

今月4日の中村氏の総決起大会に出席した菅義偉官房長官は「知事をチェックする役割が議会にある。知事のところから議員が出たなら、チェックできなくなる」と声を張り上げた。

一方、都民ファーストは小池氏が衆院議員時代に学生インターンとして受け入れた元IT会社員の樋口高顕氏(34)を擁立した。小池氏は「長年の息子のような存在」と持ち上げる。

「これまで都議会は一体どんな仕事をしてきたのか。議員が作った条例は25年間で1本だけだ」。樋口氏は、これまでの都議会のあり方を批判する。

23日、事務所前の出陣式では「クリーンな政治にしてほしい。しがらみのない政治にしてほしいという声が寄せられている」と第一声。集まった支援者らに「古い都議会を変え、新しい都議会にしなければならない。都議会を都民に取り戻そう」と訴えた。

樋口氏を支援するのは小池氏だけではない。今年2月の千代田区長選で、小池氏が支援し、自民推薦候補者に大差で勝利した石川雅己区長もバックアップする。今月3日の総決起大会では、区長選で着用していた緑色のネクタイを樋口氏にプレゼントした。

千代田区からはこのほか共産党が推薦する無所属の須賀和男氏(61)が立候補を届け出た。須賀氏は23日、「(市場の)豊洲移転の中止と築地再整備への願いを託してほしい」と訴えた。政治団体代表の後藤輝樹氏(34)も立候補した。(阿部朋美)

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