「大崎事件」元受刑者の再審開始決定 鹿児島地裁
鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人などの罪で服役した原口アヤ子さん(90)が裁判のやり直しを求めた3度目の再審請求について、鹿児島地裁(冨田敦史裁判長)は28日、再審の開始を認める決定を出した。即時抗告の期限は7月3日。
原口さんは一貫して無実を主張。90年に出所し、95年に鹿児島地裁に再審を請求。開始決定が出たが、福岡高裁宮崎支部が取り消した。2度目の請求は2013年に鹿児島地裁が棄却、即時抗告も棄却された。
第3次再審請求の申し立ては15年7月。第2次請求からは元夫(故人)の遺族も再審を求めていた。
今回弁護側は、法医学と供述心理学の鑑定書を新証拠として提出した。「タオルによる絞殺」とした確定判決については法医学の鑑定書を元に「死斑などがなく、窒息死の所見は認められない」と指摘。男性が事件前に近所の側溝で倒れていたことから「自転車事故による出血性ショック死の可能性が高い」と訴えた。
また、第2次再審請求の即時抗告審で「親族3人の自白を支えている」と判断された義妹の「共犯者の1人から殺してきたと聞いた」という証言に注目。心理学者に分析を依頼し、「体験していないことを話している可能性が高い」とする鑑定書を提出した。
昨年11月に双方の最終意見書が出され、今年3月、実質審理を終えていた。
原口さんは今月15日、90歳になった。高齢のため、弁護団は検察側に即時抗告をしないよう求める方針。(野崎智也)
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〈大崎事件〉鹿児島県大崎町で1979年10月、農業の男性(当時42)の遺体が自宅横の牛小屋で見つかった。男性の義姉の原口アヤ子さんと当時の夫、義弟の3人が殺人と死体遺棄容疑で、原口さんのおいが死体遺棄容疑で逮捕された。原口さん以外は容疑を認め、懲役1~8年の判決を受けた。原口さんは一貫して否認したが、81年に懲役10年の判決が確定。服役した。
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