機関紙に執筆?名前を暗号化…大坂容疑者、空白の46年
移送のため羽田空港に到着した大坂正明容疑者=6月7日午後3時39分、東京都大田区、西畑志朗撮影
1971年に起きた渋谷暴動事件で、警備中の警察官を殺害したなどとして、東京地検は28日、過激派・中核派活動家の大坂正明容疑者(67)を殺人など五つの罪で起訴する。46年前の事件が裁判員裁判で審理されることになる。
大坂容疑者は黙秘しているが、半世紀近い空白期間の足取りや逃走生活の様子が明らかになってきた。
警視庁によると、逃走を支援していた中核派のメンバー十数人は大坂容疑者を「暗号化」し、逃走中の様子を幹部に報告していた。暗号は数字とアルファベットを組み合わせた4桁で、2週間に一度、アジトや大坂容疑者の様子を報告するよう義務づけられていた。大坂容疑者自身も月に一度、組織宛てにリポートを提出していた。中核派への忠誠心の強さを確認する目的があったという。潜伏中は中核派の機関紙「前進」の編集や執筆に携わっていた可能性もある。
メンバーは埼玉や千葉、神奈川にある複数のアジトに2人ずつ配置され、交代で大坂容疑者の身の回りの世話をしていた。アジトから外出する際、メンバーは警察官の職務質問にあわないよう公共交通機関を利用せず、スポーツタイプの自転車を使っていたという。
大坂容疑者はアジト間の移動のほか、持病を治療するための診察に車を使っていたが、最近は車を運転できるメンバーがいなかったため、運転手役を選んで免許を取得させ、運転役のメンバーは運転の練習やルートの下見をしていたことも判明した。逃走を支える資金は機関紙の販売収入や上納金とみられ、こうした実態は、警視庁が都内の各アジトの捜索で押収した水溶紙に書かれたメモを分析し、分かったという。
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