稲田氏、最後まで関与否定 「報告の認識、今もない」
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣されていた陸上自衛隊の日報問題をめぐり、稲田朋美防衛相が28日、引責辞任を表明した。自身が隠蔽(いんぺい)に関与していたかが焦点となっていたが、この日に結果が発表された特別防衛監察では明らかにされず、稲田氏は会見で改めて否定した。
「防衛省・自衛隊にとって大変厳しい反省すべき結果が示された。極めて遺憾だ」。稲田氏は閣議後の会見の冒頭、手元に用意された文面に視線を落としながら、自らの指示で実施した監察の結果を淡々と読み上げた。
監察の最大の焦点は、日報の電子データが陸自に保管されていたことについて稲田氏が報告を受け、非公表とする方針を了承したのかという点だった。
稲田氏はこれまで、一貫して「そのような事実はない」と否定してきたが、監察結果は「日報データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できない」と指摘した。会見で稲田氏は「報告を受けた認識は今でもないが、監察の結果は率直に受け入れる」と話した。
会見開始から約7分後。稲田氏は、日報に関する一連の問題が防衛省の情報公開の姿勢への疑念を招き、国内外で任務にあたる隊員の士気に影響しかねないことに懸念を示したうえで、こう続けた。
「防衛省、自衛隊を指揮監督する防衛大臣として、その責任を痛感しており、1カ月分の給与を返納することにした。さらに、そのうえで、防衛大臣としての職を辞することにした。先ほど総理に辞表を提出し、了承された」
約50分の会見では、日報の電子データを非公表としたことへの稲田氏の関与を問う質問が相次いだが、稲田氏は「報告を受けたという認識はない」「報告はなかった」と繰り返した。終始、前を向き、表情を変えることはほとんどなかった。
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