弘前でスカウトされた7歳児、ベネチア映画祭で作品上映

写真・図版「泳ぎすぎた夜」の一場面(C)2017 MLD Films

開催中のベネチア国際映画祭で、青森に住む小学2年生(撮影当時1年)が主演する日仏合作映画「泳ぎすぎた夜」が公式上映される。地元で監督らの目にとまり、78分の作品を家族とともに演じきった。「海外は初めて」という一家は、5日の上映に立ち会うため、イタリアへ向かう。

主演したのは古川鳳羅(こがわたから)君(7)。青森県南部の平川市で、両親と姉の4人で暮らす。映画は冬の津軽地方を舞台に、市場で働く父親に自分が描いた絵を届けようと、少年が小さな冒険をする1日を描いた。セリフがほとんどなく、斬新な作品を集めた同映画祭のオリゾンティ部門で、出品作19本の一つに選ばれた。

作品は、東京造形大在学中から映画作りを始めた五十嵐耕平監督(34)と、フランス出身のダミアン・マニベル監督(36)の2人が共同で制作。2人は3年前、スイスのロカルノ国際映画祭で出会って意気投合し、次回作を日本で一緒に撮ろうと準備を進めていた。

テーマは雪と子ども。五十嵐監督は「真っ白で静かな世界が広がる中にも、人々の暮らしがある風景が印象的だった」。マニベル監督は「子どもの頃に一人で出かけて感じた孤独な気持ちは、国が違っても広く共感してもらえる」と語る。

昨年8月、ロケ地を探すために訪れた弘前市のイベント会場で、はしゃいで走り回る鳳羅君を見かけ、母親の知里(ちさと)さん(33)に「映画の出演に興味がありますか」と声をかけた。マニベル監督は「エネルギーがあふれていた。体の全身で表現する様子はまるで小さなチャプリン。話した瞬間から色んなアイデアがわいてきた」と振り返る。

知里さんは「映画に出るなんて別世界の話だと思っていた」と驚き、夫の孝(たかし)さん(45)に相談。「普段と違う世界を体験させるいい機会になる」と承諾した。

ASAHI.COM

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