「血管切れた」猛アピール指示、日本救う 観察眼が威力

写真・図版同点の延長十一回タイブレーク、先頭の藤原(左)にアドバイスを送る米沢コーチ

(7日、野球U18W杯 日本4―3オーストラリア

延長十一回、日本がサヨナラで辛勝した野球のU18ワールドカップ2次リーグ、オーストラリア戦。緻密(ちみつ)な野球を追い求める関東一(東京)の監督で、今大会の日本代表の米沢貴光コーチ(42)の「観察眼」がチームを救った。

1点リードの六回の守り。1死満塁で左翼へ大きな飛球があがった。左翼手桜井(日大三)がめいっぱい背走して好捕した。犠飛での1点は仕方がなく、さらにピンチが続く嫌な雰囲気が漂った。だが、ベンチにいた米沢コーチは冷静に見ていた。

一塁走者が二塁をけったあと、捕球されるのを見て二塁ベースを踏み直さずに一塁に戻っていた。ルールでは逆走する際も、順番に塁を踏まないといけない。

「あれを伝えるのに血管が2本ぐらい切れました(笑)」。すぐさま、米沢コーチは声を張り上げ、ボールを持って二塁を踏んでアピールするよう指示した。

最初は内野陣も分かっておらず、ボールは一度、一塁に送られたが最後は二塁に送られ、アウトでチェンジ。同点で踏みとどまった。さらに二死一、二塁で相手の攻撃が続くのとは大違いだった。

米沢コーチは「よくあることなので、いつも見ています。他の人は気づいていなかったんですか? よかったです」とにっこり。サヨナラ勝ちの陰に、攻撃時は三塁コーチで声をからすチームスタッフのファインプレーがあった。(坂名信行)

ASAHI.COM

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