芸術は100%の答えが出ると死ぬ 佐藤俊介さん
東京であった演奏会のリハーサルの合間に。妻のスーアン・チャイさん(左)が古楽器フォルテピアノを演奏した=東京都中央区、山本和生撮影
小脇に抱えたバイオリンを戯れにかき鳴らしてさえ、音に命が宿る。アンサンブルで演奏すれば、縦横無尽な調べで音楽が輝く。
作曲当時の楽器や奏法を用いる古楽の名門楽団「オランダ・バッハ協会」のコンサートマスターを、2013年から務める。来年6月には、30年余り楽団を率いた指揮者ヨス・ファン・フェルトホーフェンさん(65)の後任として、音楽監督に就く。日本人の若手が伝統ある楽団を引き継ぐことは、現地で驚きを持って迎えられた。
今年2月に就任を打診され驚いた。指揮者でもなければ、バッハ演奏で重要な声楽の専門家でもない。考えたすえ、「引っ張るのでなく、まとめ役のリーダーなら。すべてはできない、やらないほうがいい」と、腹をくくる。
2歳でバイオリンを始めた。4歳の時、経済学者である父の留学でアメリカへ渡り、そのままアメリカで育つ。ジュリアード音楽院プレ・カレッジやカーティス音楽院で学び、19歳になった03年、CDの演奏でとりこになったジェラール・プーレさん(79)に教わるため米国からパリに移った。
ASAHI.COM